木彫刻師が木を削ったときに出る木くず。
nomiは、その木くずを使って燻製料理をつくる、
井波の路地奥にあるバーです。
今年の5月で2周年を迎えます。
nomiのマネージャー、藤島美智瑠さんにお話を伺いました。
燻製料理と聞いてぱっと思いつくのは、ベーコンやチーズ。
でも、nomiでは里芋など、燻製料理として
あまり馴染みのないものも出てきます。
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「nomiで人気の燻製ポテトチップスは
ジャガイモだから、芋類と燻製との相性は
いいんじゃないかと思って。
井波の名産品の里芋を皮ごと燻したら
おいしくて評判もよかったですね」
nomiはバーとしてお酒に合う
おつまみメニューも豊富ですが
コース料理も提供しています。
コース料理のメニューをつくるときも
まず初めに、「何を燻製にするか」を
決めると言います。
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「今、コースで燻製ものは3種類出してて。
燻製は初めて食べる方でも食べやすいよう、
『これは間違いない』という安全パイなものを
必ず入れるようにしています。
そのうち1種類はちょっと冒険してますね」
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でも、コース料理の中では特に重きを
置いているのは、前菜だそう。
その理由を尋ねたら、ここに来るまでの
ご自身の過去にあると教えてくれました。
美智瑠さんのご出身は埼玉県。
「マンション暮らしで、周りに畑はない環境。
365日、トマトがスーパーに売られていて
トマトの旬がいつなのか知るつもりもなかったし、
いつでも手に入るのが当たり前だと思っていた」
と振り返ります。
しかし南砺市に移住後、福光の道の駅で働いた経験から、
食材の旬を意識する生活に変化していったそう。
福光の道の駅は、地元の方たちが生産した野菜や
果物がたくさん並んでおり、スーパーに行く感覚で
買い物をする方が多くいらっしゃいます。
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「道の駅で働き始めたばかりのとき、
なんで冬にトマトが売ってないのか尋ねたら、
『トマトは夏の野菜なんだから、冬に売ってどうするの』
と言われて。
そこで、食材には旬があって、旬なときに
食べなきゃいけないんだと気づいたんですよね。
道の駅で働いた3年間、どの野菜の旬がいつなのか、
どうやって食べるのかをいろんな人に聞いて、
自分の手でつくっておいしいと感じたものを増やしていきました」
コース料理のメインとされる、お肉などと比べて
野菜はより強く旬を感じられるもの。
「土が近い土地だから、それを大事にしたい」
とこだわり、美智瑠さんはいつも
幾種もの前菜をつくってます。
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冬の間に育ったネギの生ハム巻きは、
噛むとじんわりネギの甘味を感じられました。
冬から春に移るころの春菊は、生のままでも
苦くなく、醤油麹と和えたサラダは
ぱくぱくいくらでも食べられました。
山菜は、外の気温よりも先に
春の訪れが来たことを感じさせてくれました。
この場所で、その時季に収穫される食材を使って
料理をつくる美智瑠さんは、
日々変わるメニューをすべて記録しています。
びっちり書き込まれたノートはまるで歳時記のよう。
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そして食べものの旬とともに大事にしているのは、
「人の顔が浮かぶ料理」をつくること。
nomiで出している野菜、
珈琲、デザート、ジェラート。
そういった食品に限らず、nomiで使っている
うつわを制作された作家さん。
燻製料理に使う木くずを提供してくれる彫刻師さんも。
すべてにおいて誰かが関わっているからこそ、
人を語れるものを出すことにこだわる」と
美智瑠さんは話してくれました。
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そして、新しい人との関わりから
生まれた企画を計画中です。
昨年、南砺市立野原に新しくオープンした
ワイナリー、トレボー株式会社の
醸造家・望月俊祐さんをお迎えして
日本ワインとnomiの料理とのペアリングを
楽しむディナー会です。
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「先日、ワインのことを学ぶために
望月さんを招いて勉強会をしました。
お酒のことになると饒舌になる望月さんと
なにか楽しいことがしたいと思って声をかけ、
この企画が生まれました」
お酒好きの人はたくさんいるけど、
自分でつくっちゃうほどのお酒好きは
なかなかいない、と美智瑠さんは笑います。
ちょうどこのお話を聞いたときは、
そのペアリングディナー会のメニューを
考案している最中でした。
この土地という土台の上で、美智瑠さんが
旬の食材と組み合わせていく人との出会い。
さらに積み重なっていく、これからのnomiの世界が楽しみです。
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文:松倉奈弓
写真:大木賢
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nomi
南砺市本町3丁目41
バータイム:18:00~23:00
定休日:月曜日・火曜日(祝日は営業)
※現在、2組様(1組4名)までのお席のご案内
※ペアリングディナー会は、
新型コロナウイルス感染症の状況をみながら
開催時期を判断いたします